「どうぶつ健康通信」ワンちゃん版3月号★花粉に注意!ワンちゃんのアレルギー性皮膚炎は春先から増加!★
2014/03/03(月)どうぶつ健康通信
★もくじ★
ワンちゃんにも花粉症ってあるの?
○ワンちゃんのアレルギー性皮膚炎は春先から増加!
○花粉対策をしてみよう!
花粉に注意!ワンちゃんのアレルギー性皮膚炎は春先から増加!
担当獣医師:山田
「春先になって、かゆみが強くなっているようで…」
柴犬の華ちゃん(仮名:2歳の女の子)が飼い主さんと来院しました。
詳しく話を伺ってみると、華ちゃんは生後半年くらいから手足を舐めたり、
目の周りをこすりつけたりする皮膚のかゆみがあったようです。
冬の間は少し症状が落ち着いていたものの、
春先からだんだんかゆみが強くなり、気づけば目の周りの毛は抜け、
手足の皮膚も真っ赤になったので来院したとのことでした。
診察中、華ちゃんの飼い主さんから
「先生、ワンちゃんもヒトと同じように花粉症になりますか?」
と質問がありました。
どうやら最近、飼い主さんご自身にくしゃみや鼻水、鼻づまりなどの、
花粉症の症状が出始めたようです。
華ちゃんには、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどは出ていませんでしたが、
皮膚のかゆみが出始めた時期と、飼い主さんの花粉症の時期が似ていたので
疑問に思ったようです。
ワンちゃんもヒトと同じように花粉症になるのでしょうか?
華ちゃんの皮膚のかゆみは花粉症と関係があるのでしょうか?
◆◇◆◇◆ワンちゃんにも花粉症ってあるの?◆◇◆◇◆
ヒトの花粉症は植物の花粉が、鼻や目などの
粘膜に接触することによって引き起こされるアレルギー反応で、
くしゃみや鼻水、鼻づまり、目や喉のかゆみなどの症状が見られます。
一方、ワンちゃんではヒトのようにくしゃみや鼻水などの症状は少なく、
皮膚のかゆみや赤み、外耳炎などの症状が出ると言われています。
スギ花粉であればヒトと同じように2月頃から症状が出始めます。
◆◇◆◇◆ワンちゃんのアレルギー皮膚炎は春先から増加!◆◇◆◇◆
ワンちゃんのアレルギー性皮膚炎の原因は、花粉の他にも
食物、ダニ、ハウスダストなどさまざまです。
食物によるアレルギー反応だった場合、通年を通して症状が出ることが多いのに対して、
花粉によるアレルギーの場合には花粉が飛散する時期によく見られます。
もし、春先の花粉が飛散する時期から秋頃までにワンちゃんの皮膚炎が
悪化するようでしたら、花粉が原因の可能性もあるかもしれません。
そのような場合には、花粉対策を行ってみましょう。
◆◇◆◇◆花粉対策をしてみよう!◆◇◆◇◆
1.花粉情報をチェックし、花粉の飛散が多い日や多い時間帯の散歩を控えましょう。
2.花粉飛散の多い日には、なるべく窓を閉めて花粉の侵入を防ぎましょう。
3.外に干した洗濯物や布団は、花粉を払い落としてから室内に入れましょう。
4.散歩後にはワンちゃんの全身を拭いてあげましょう。
足は軽く洗っても良いでしょう。ブラッシングでも良いですが、
静電気で花粉が再度、付着する可能性があるので注意が必要です。
5.飼い主さんも帰宅した際は、花粉を落としたり、着替えてからワンちゃんに接するようにしましょう。
6.室内では空気清浄機が効果的です。床に落ちた花粉は、雑巾で水拭きすることで取りましょう。
柴犬の華ちゃんは皮膚の一般検査やアレルギー検査から
「アトピー性皮膚炎」と診断されました。
おそらく、元々アレルギー体質を持っていて、
皮膚が乾燥しバリア機能が適切に働かなくなったところに
花粉が接触したことで、皮膚炎が悪化したのでしょう。
花粉によるアレルギー性皮膚炎を予防するためには、日頃から皮膚を清潔に保ち、
定期的に皮膚を観察することを心掛けてください。
アレルギー性皮膚炎の原因が花粉ではない場合もあります。
最近では、アレルギー検査によりアレルゲンが特定できることもありますので
しきりに皮膚を舐めたり、かんだりする場合や、赤みや発疹などが見られる場合には、
かかりつけの動物病院に相談してみましょう。
アレルゲンが判明している場合には、ワンちゃんの生活環境を整えることで
症状が和らぐ場合もあります。
ヒトも辛い花粉の季節ですが、ワンちゃんの花粉対策にも気をつけてみてください。