「どうぶつ健康通信」ワンちゃん・ネコちゃん共通 2015年4月号★健康診断のすすめ★
2015/04/21(火)どうぶつ健康通信
健康診断のすすめ
担当獣医師:小川
ようやく暖かい季節になってきました。
以前、産経新聞に「犬はお花見を楽しめるか?」というコラムを書いたことがあります。
http://www.sankei.com/life/news/140404/lif1404040001-n1.html
実際はワンちゃんになってみないと分かりませんが、
どうやら桜の花は黄色に見えている可能性がありそう、という内容です。
さて、世間ではお花見シーズン、入学シーズンなど華やかな時季、
動物病院は1年でもっとも忙しい「ワクチンシーズン」を迎えます。
飼い主の皆さまは、ワクチン接種と同時に健康診断をしてもらうことも
多いのではないでしょうか。
今回は、その健康診断での主な血液検査の項目と、疑われる病気をご紹介します。
健康診断で検査結果を受け取った方は、見比べてみてください。
======血液検査でわかること======
血液検査では、おもに2つの検査を実施します。
ひとつは「血液細胞の検査(全血球計算)」、
もうひとつは「血液成分の検査(血液生化学検査)」です。
意外に知られていませんが、基本的に人と同じ検査を行っています。
■血液細胞の検査【全血球計算】
赤血球や白血球、あるいは血小板などの血液細胞の数をカウントします。
① RBC(赤血球)
少ない場合:貧血など
多い場合:多血症など
② WBC(白血球)
少ない場合:白血球減少症など
多い場合:感染症、白血病など
③ PLT(血小板)
少ない場合:血小板減少症、重度の感染症など
多い場合:血小板増多症、とくに問題ないことも多い
■血液成分の検査【血液生化学検査】
血糖値や肝臓、腎臓などの指標となる検査で、検査項目は自由に選ぶことができます。
特に健康診断で計測されることの多い項目をご紹介します。
① GLU(グルコース:血糖値)
低値の場合:低血糖
高値の場合:糖尿病、採血時のストレス(特に猫ではよく見られる)、食後
② ALTあるいはGPT(肝臓障害の指標)
低値の場合:特に異常なし
高値の場合:肝臓疾患、門脈体循環シャント(主に子犬)、抗てんかん薬などの薬剤
③ BUN(主に腎機能の指標)
低値の場合:門脈体循環シャント(主に子犬)、肝臓疾患など
(特に異常がないことも多い)
高値の場合:腎臓病、心臓病
④Cre(クレアチニン:腎機能の指標)
低値の場合:特に異常なし、痩せすぎなど
高値の場合:腎臓病(急性腎不全・慢性腎不全)
⑤ T-Cho(コレステロール)
低値の場合:慢性肝臓病などがあるが、問題ないことが多い
高値の場合:高脂血症、食後など
(シュナウザーなどの犬種では、もともと高いことも)
※上記は一部の例です。各項目の正常値は結果表などでご確認ください。
また、正常値でも疑われる疾患などがあります。
検査結果の判断は動物病院の獣医師にお問い合わせください。
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他にも、病院によっては尿検査、糞便検査、レントゲン検査や
超音波検査を実施しています。
6歳以上の中年齢のワンちゃん、ネコちゃんだけでなく
若いうちから健康診断を受けることを強くおすすめします。
異常に気付く唯一の方法は、正常を知ることです。
まずは、健康なうちに「健康診断」をして、
元気で長生きできるよう応援しましょう。