「どうぶつ健康通信」ワンちゃん・ネコちゃん共通 2015年8月号★ワンちゃん・ネコちゃんの肉球のヒミツ★
2015/09/02(水)どうぶつ健康通信
★もくじ★
○肉球の構造
○肉球の役割
○肉球のお手入れ
ワンちゃん・ネコちゃんの肉球のヒミツ
担当獣医師:兵藤
突然ですが、ワンちゃんネコちゃんの体の中で好きな部位はありますか?
くりくりした目、ぶんぶん動くしっぽ、ふわふわ・つやつやの毛、おいしそうな
匂いに敏感な鼻…、いろいろあると思いますが、私は肉球が大好きです。
人間には無い独特のパーツで、形もなんだか可愛らしくて、ついつい触り
たくなってしまいます。
「わかる!」という飼い主さまもいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、そんな肉球についてお話しします。
◇◆◇◆肉球の構造◇◆◇◆
肉球は英語で「pad=パッド」とも呼ばれますが、正式名称は「蹠球(しょきゅう)」
と言います。主にネコ目(食肉目)のどうぶつの足の裏に存在しています。
肉球の一番外側には角質層があり、その表面は爪と同じケラチン層です。
子犬子猫は、まだこの角質層が薄いため、ぷにぷにとした触り心地の
いい柔らかい肉球をもっています。
成長するにつれて硬い道やでこぼこした道を歩いて刺激をうけ、角質層
が厚くなり適度な硬さになります。
その下には脂肪を含んだ弾性線維が網目状に重なっていて、
この部分が独特な形と柔らかさを作っています。
また血管や神経は奥深くに存在しているので、ある程度の外部の
熱さ・寒さからは守られます。その反面、一度傷つくとその部分には
栄養や補給物資が届きにくく、治りが遅くなりがちです。
また足をつくと体重がかかって肉球が変形するので、再び傷が開いて
しまうこともあります。
◇◆◇◆肉球の役割◇◆◇◆
①獲物に近づくときの足音を消す
シマウマやシカといった草食獣は、肉球がないかわりに蹄があります。
天敵の気配を察知すると、とにかく速く走って逃げるのに適した足の形
をしています。
一方ライオンやオオカミのような肉食獣は、肉球によって足音を消し、
そーっと獲物に近づきます。そうすることで狩りの確率を上げることが
できます。
②衝撃をやわらげる
歩いたり走ったりするとき、高いところから飛び降りるとき…もし肉球が
なかったら、衝撃が皮膚や骨に直接伝わってしまいます。肉球は、そう
した衝撃を吸収するクッションの役割を持っています。長距離の移動が
できるのも、肉球があってこそなのです。私たちも、靴底がぺらぺらの
サンダルよりも、ある程度クッションのついた運動靴の方が歩いていて
疲れないですよね。
③滑り止め機能をもつ
肉球の表面はざらざらしていて、滑らかな地面の上でも、摩擦が起きる
ようになっています。私たちの靴裏に、でこぼこがついているのと同じ
です。また、肉球の周りには汗を出す汗腺もあり、肉球に適度な湿度を
与えています。これも滑り止めに一役かっていると言えます。
④触覚器になる
ネコちゃんの場合、肉球の上の方には2~3本の毛が生えていて、歩行時に
触覚器としての役割をはたしています。
◇◆◇◆肉球の役割◇◆◇◆
上記の通り、肉球の傷はとても治りにくいので、ケガをするような危険な
場所は歩かせないようにしましょう。
今の時期はアスファルトによるやけどにも要注意。
お散歩の時間を涼しい時間帯に変える、土の上を歩かせるといった工夫が
必要です。
シニア期になると、肉球に角質の厚い層ができ、乾燥が進んで白っぽく
ガサガサになることがあります。放置しておくと、パックリ割れて出血
したり、そこから雑菌が入り込んで思わぬ病気に感染することもあります。
お散歩後に毎回足を洗うことで余計に乾燥が進む場合もあるので、
乾燥している場合は水で洗わずに、乾いたタオルで拭いてあげる程度に
しましょう。
肉球ひとつとっても、色々な役割があります。どうぶつの体のしくみを知る
ことで、どういった生活が彼らに適しているか見えてくることもあります。
他にもお子様のチャームポイントについて、詳しく調べてみると新しい発見
があるかもしれませんね。