「どうぶつ健康通信」ワンちゃん・ネコちゃん共通 2016年5月号★ワンちゃん・ネコちゃんが食べると危険なもの★
2016/05/23(月)どうぶつ健康通信
★もくじ★
○キシリトール
○ブドウ・レーズン
○プロピレングリコール
担当獣医師:中山
日差しが暖かく、心地の良い日が多くなってきました。
外出の予定が増えると、ワンちゃん・ネコちゃんがお留守番する機会も
増えるのではないでしょうか。
本日はお留守番時に多いトラブル、誤食の中の食べ物編。
「これ、食べても大丈夫だと思っていたのに…」という食品について
ご紹介いたします。
ワンちゃん・ネコちゃんが食べると危険なものの代表格は、ご存じの通り
玉ねぎ類、チョコレート。
あまり知られていないですが、近年、中毒の報告が増えてきているものに
キシリトール、レーズン・ブドウなどがあります。
◇◆◇◆キシリトール◇◆◇◆
歯のケアと言えばキシリトール。
ヒトでは虫歯の原因となるミュータンス菌を減らす、歯の再石灰化を助ける等
メリットが大きいと言われており、甘味料としてガム・飴・タブレットなどに使用
されています。
では、ワンちゃんではどうでしょうか。
私も病院で、「ワンちゃんがお留守番の間にガムのボトルの中身を全て
食べてしまった」「飴を落としたら食べられてしまった」などの相談を受けた
ことがあります。
「歯がきれいになるかしら」などと冗談を言われる方もいらっしゃいますが、
キシリトールはワンちゃんにとっては怖い物質です。
キシリトールがワンちゃんの体内に入ると、血糖に働くホルモンである
インスリン分泌が刺激されます。その結果、ワンちゃんはふらつき、痙攣、
失神など低血糖の症状を示します。
小さなタブレット数粒でも、小型犬では命に関わることもあります。
ネコちゃんでは、まだ報告がありません。
ネコちゃんは新しい食べ物に対して警戒心が強いため、キシリトールの誤食が
原因の事故が起こりにくいのかもしれません。
◇◆◇◆ブドウ・レーズン◇◆◇◆
レーズンパン・レーズンクッキー・レーズンアイスクリーム…
テーブルの上やキッチンに置きっぱなし、などということはありませんか。
ブドウ・レーズンを食べたことが原因で、ワンちゃんの腎臓に障害がでた症例
も報告されています。
中毒が起きるメカニズムが解明されていないため、ネコちゃんでの危険性
はわかっていませんが、ネコちゃんの腎臓の機能を司るネフロンの数は、
ワンちゃんの半分しかないと言われています。腎臓に負担がかかる可能性が
あるのであれば、ネコちゃんも気をつけたい食品です。
◇◆◇◆プロピレングリコール◇◆◇◆
ヒトのうどん・おにぎりなどの保湿・静菌のために使用されている食品添加物
です。ペットフード安全法では、赤血球の形の異常が確認されているため、
ネコちゃんのフードへの使用が禁止されています。
ワンちゃんでは、同様の報告がなく、フードの規制対象にもなっていません。
どうぶつは、大切な家族です。家族ですが、消化・代謝機能などヒトとは違う
部分もあるため、ヒトに安全な食べ物でもワンちゃん、ネコちゃんには毒性を
示すこともあります。
大切な家族との、幸せな毎日を守るために、体の違いを知り、少し意識して
みませんか。
食べ物だけでなく、ごみ箱に捨てた骨や串・袋、小さなおもちゃ、ヒトの薬…
危ないものを知り、意識して片付けるだけで、ワンちゃん、ネコちゃんの安全を
守ることができます。
ヒトもワンちゃん、ネコちゃんも安全で楽しい毎日を過ごせますように。