「どうぶつ健康通信」ワンちゃん版2月号★チョコレートにご注意!★
2014/02/04(火)どうぶつ健康通信
★もくじ★
○チョコレートにご注意!
○チョコレート中毒の症状
○どれくらい食べると危険?
○もし食べてしまったら~異物誤飲への対処法~
※アニコムからのお願い※
チョコレートはもったいぶらずに早く食べてください。
◆◇◆◇◆チョコレートにご注意!◆◇◆◇◆
担当獣医師:矢崎
ある朝、慌てた様子の飼い主さんから電話がありました。
「チョコレートを食べたみたいなのですが、どうしたらいいですか?」
朝起きたらチョコレートの包み紙が床に落ちていたそうです。
お話を聞く限りでは、ぐったりした様子も無く元気とのこと。
朝ごはんをあげていいのかというご相談でしたが、
ご飯をあげずに包み紙も持って来院してください、とお願いしました。
チョコレートを食べてしまったのは、
トイ・プードルのアイちゃん(仮名:3歳の女の子)。
「お父さんが深夜にチョコを食べて、片付けなかったみたいで
朝起きたらチョコレートの大袋と包み紙が5枚、床に落ちていました。」
◆◇◆◇◆チョコレート中毒の症状◆◇◆◇◆
ワンちゃんにとってチョコレートは有害です。
チョコレートに含まれる「テオブロミン」という成分を
代謝することができないため「チョコレート中毒」になります。
「チョコレート中毒」の症状はふらつき、けいれん、不整脈、
血尿、下痢・嘔吐などがあります。
摂取後4時間程度で症状が現れると言われていますが、
アイちゃんは何時間前に何個食べたか正確に分からない状況です。
まずレントゲンを撮りましたが、包み紙も食べたのかどうかは確認できませんでした。
その他にも様々な検査をした結果、肝機能を表す数値が上昇していることが分かりました。
チョコレートが胃の中にまだ残っている可能性がありましたので
まず、お薬を使って吐かせる処置を行いました。
しかし、吐いたものの中にチョコレートらしきものはみつかりません。
すでに胃の中には残っておらず、消化されてしまったようです。
アイちゃんの体調には大きな変化はありませんでしたが、
これから症状がでる可能性もあるため、入院してもらい経過をみることとしました。
静脈点滴をして吸収されたチョコレートの成分を薄めます。
他に赤いおしっこをしていないか、ウンチに異常がないか、などを確認します。
次の日も変わらずアイちゃんは元気。
血液検査と尿検査を行ったところ、高かった肝臓の値は
ほとんど正常に戻り、尿検査も正常でしたので退院することとなりました。
お迎えに来た飼い主さんは
「実は、食べたのは少しだし元気そうだから大丈夫かな、と思っていたんです。
でもチョコレート中毒って怖いんですね。」と、とても反省している様子でした。
◆◇◆◇◆どれくらい食べると危険?◆◇◆◇◆
少量でもワンちゃんにとっては命にかかわることもあります。
小型犬だと板チョコ1枚(約60g)が致死量となる場合もあるのです。
ビターチョコレートはミルクチョコレートよりテオブロミンを多く
含んでいますので、特に危険です。
また、テオブロミンの感受性はワンちゃんによって異なるので、
同じ量でも中毒になる子、ならない子がいます。
チョコレートは糖質、脂質も多く、ワンちゃんにとっては不要な食べ物です。
わが子を守るために、チョコレートは絶対に与えないようにしましょう。
さらにチョコレートだけでなく、包み紙やチョコレートの中のナッツ類が
消化管に詰まってしまう場合もあります。
そのときには全身麻酔で手術をすることとなり、ワンちゃんにも大きな負担がかかります。
◆◇◆◇◆もし食べてしまったら~異物誤飲への対処法~◆◇◆◇◆
もしチョコレートを食べてしまった場合には
チョコレートのパッケージなどを持って一刻も早く動物病院へ行きましょう。
消化される前であれば、吐き出させる処置をすることで
「チョコレート中毒」を防ぐことができます。
誤飲は昼間だけでなく、夜間やかかりつけの病院がお休みの時にも起こります。
かかりつけの病院だけでなく、近くの救急病院にも、すぐに連絡ができるよう
日頃から調べておくことが大切です。
もうすぐバレンタインデー、お家でチョコレートを楽しむ機会が増えるかもしれませんが、
ワンちゃんたちの届く場所にチョコレートが置かれていないか、気を付けてくださいね。
【STOP誤飲プロジェクト】
http://www.anicom.co.jp/stopgoin/index.html
【STOP誤飲新聞】
http://www.anicom.co.jp/stopgoin/pdf/121218.pdf
【みんなの闘病日記で誤飲経験談が検索できます。】
https://www.anicom-page.com/tobyoki/