「どうぶつ健康通信」ネコちゃん版6月号★お口と歯の健康を守ろう!
2014/07/15(火)どうぶつ健康通信
★もくじ★
○ネコちゃんも歯周病に?
○歯周病のサイン
○歯周病になってしまったら
○歯みがきを始めるタイミング
お口と歯の健康を守ろう!
担当獣医師:小島
6月4日は「6(む)4(し)」にかけて虫歯予防デーとも言われています。
それにちなんで、今回はネコちゃんのお口と歯の健康についてお届けします。
いつもはご飯をねだってくるタマちゃんが、
おとなしくクッションの上でうずくまったまま、ご飯を食べようとしません。
心配になった飼い主さんは、すぐに動物病院へ通院していらっしゃいました。
お話をお伺いすると「ご飯をねだって、顔のそばでミャアミャア言う時に
お口の臭いが気になっていた」ということでした。
タマちゃんの全身をチェックすると、
奥歯がぐらついているのがわかりました。
それが痛くてご飯が食べられなかったようです。
「いわゆる歯周病です。お口の臭いもそのせいですね。」とお伝えすると
「歯周病って?グラグラした歯はどうすればいいの?」
と、飼い主さんは歯周病をご存じない様子でした。
皆さまは、歯周病についてどのくらいご存じですか。
◆◇◆◇◆ネコちゃんも歯周病に?◆◇◆◇◆
ネコちゃんも歯周病になることがあります。
歯周病は以下のようなステップで進んでいきます。
(1)歯の表面に食べかすが付いていると、歯垢(しこう)ができます。
歯垢は細菌の塊です。
(2)歯垢は数日間で硬い歯石へと変化。歯石になると歯みがきでは落とせなくなります。
(3)歯垢・歯石の中の細菌により歯ぐきが炎症を起こし「歯肉炎」に。
(4)炎症の範囲が広がると「歯周炎」となり、重症では歯が抜けたり、
顎の骨が折れたりします。
「歯肉炎」と「歯周炎」のことをまとめて「歯周病」と呼んでいます。
歯周病は、歯周病菌によって心臓や腎臓などにも問題を起こします。
歯周病はお口の中の問題にとどまらない、とても怖い病気なのです。
◆◇◆◇◆歯周病のサイン◆◇◆◇◆
こんな症状が見られないか観察してみましょう。
嫌がらないようであれば、お口を開けて中の様子も見てあげてください。
・食餌を食べにくそうにしている、こぼす
・よだれをよく垂らしている
・くしゃみをする、鼻水・鼻血が出る
・頬が腫れている
・口臭がある
・歯ぐきが赤い、腫れている、後退している など
その他にも症状が現れます。上記の症状があれば早めに動物病院に通院しましょう。
◆◇◆◇◆歯周病になってしまったら◆◇◆◇◆
歯肉炎であれば、毎日の歯みがきで歯垢を落としてあげることで
改善していくことが出来ます。
しかし、蓄積した歯石は歯みがきで落とすことが困難になるので、
動物病院で専用の器具を使ったクリーニング(歯石除去)を行う必要があります。
重症の場合は抜歯などの手術を行うケースもあります。
クリーニングや手術を行うには、全身麻酔をかける必要があり、
ネコちゃんの負担になります。
最初にご紹介したタマちゃんも抜歯の手術を行いました。
退院後は元気にご飯も食べられるようになりましたが、
毎日歯をみがいていればお口の中に歯垢・歯石が溜まることもなく
タマちゃんの症状は防げたかもしれません。
◆◇◆◇◆歯周病にならないためには◆◇◆◇◆
歯周病の予防には、歯周病の原因である歯周病菌を含んだ歯垢を溜めないために、
ご家庭で毎日歯みがきをしてあげることがいちばん大切です。
食餌の後、1日以内に歯垢が作られ、たった3-5日で歯石へと変化します。
わが子の歯とお口の健康を守るに、ご家庭でお口の中の衛生管理を
しっかりおこなってあげましょう。
◆◇◆◇◆歯みがきを始めるタイミング◆◇◆◇◆
「わが子の歯はまだ綺麗。汚れてきたら始めよう。」と思いがちですが、
アニコム損保の調べでは、1歳になるころには1割以上のネコちゃんの
歯に歯垢や歯石が付いていることがわかっています。
【アンケート結果】
http://www.anicom-sompo.co.jp/company/news/news_0140528.html
歯みがきのトレーニングは子猫のころから始める必要があります。
歯みがきの時間は飼い主さんとの楽しいスキンシップの時間、
と覚えてもらえれば、歯みがきを嫌がらずにさせてくれるようになるでしょう。
歯みがきに慣れて、習慣づけることが、子猫の時期の目標です。
デンタルケアを止めてしまう理由のトップは
「ネコちゃんが嫌がるから」。歯みがきを嫌がらない子に育てたいですね。
大人になってからでも、歯みがきを始めることは可能です。
ただ、子猫の時に比べて、顔や口の周りを触られるのを激しく嫌がることがあります。
無理をせず、まずはお顔やお口を触ることに慣れてもらうところから始めましょう。
おやつを上手に利用し、触られるとおやつがもらえると覚えてもらうのも良いでしょう。
その後、飼い主さんの指が口に入ることに慣れてもらい、
最後はガーゼや歯ブラシが口に入ることに慣れてもらえれば成功です。
わが子のためにも根気よく歯みがきトレーニングを行いましょう。
【歯周病・歯みがきについて詳しくはこちら】
http://www.anicom-page.com/labo/2009/04/post-38.html#more