「どうぶつ健康通信」ワンちゃん・ネコちゃん共通 11月号★フィラリアは最後まで予防しよう★
2014/11/19(水)どうぶつ健康通信
★もくじ★
○フィラリアの予防期間って?
○様々な薬があって、何が良いのかわからない!
○ネコちゃんのフィラリア予防は必要?
フィラリアは最後まで予防しよう
担当獣医師:関谷
私が動物病院で勤務している頃、11月に入ると「蚊が飛んでいないから、
予防薬はもう飲ませなくて良いですよね?」と飼い主様からよく聞かれました。
フィラリア予防はいつまで必要なのでしょうか。
今月は、フィラリア予防に関する皆様の疑問にお答えします。
◇◆◇◆フィラリアの予防期間って?◇◆◇◆
フィラリアの予防期間は「地域」によって異なります。
なぜかというと蚊が発生する期間が異なるからです。
同じ都道府県内でも、蚊の発生しやすい場所(近くに田んぼやヤブがある等)では、
他の子より長めに、心配であれば年間を通して薬を飲ませることをお勧めします。
地域により、4~12月や、5~11月、通年投与など、動物病院の先生が地域性を
考えて指示しています。
◇◆◇◆もう蚊を見なくなったので、やめて良い?◇◆◇◆
ダメです。実は、フィラリア予防は『いつから飲ませる』より『いつまで飲ませる』かが
重要です。
月に一回飲ませるタイプのフィラリア予防薬は、蚊を寄せ付けないためではなく、
蚊からどうぶつに侵入したフィラリアの赤ちゃんを、一度に殺虫することを目的と
しています。
つまり、蚊がいなくなるのと同時に予防を終了してしまうと、1ヵ月前(前月の予防日)
から体内に侵入していたフィラリアの赤ちゃんは生き続けてしまいます。
そのため蚊がいなくなってからも、さらにもう一度飲ませることが重要です。
◇◆◇◆様々な薬があって、何が良いのかわからない!◇◆◇◆
近年、お肉フレーバーのお薬や、ノミやダニも同時に退治できるもの、錠剤タイプの
もの、スポット剤のもの、注射薬など様々なお薬が発売されています。
医薬品として承認されている薬であれば、しっかり予防することが可能ですが、
わが子の性格に合わせ、動物病院の先生に相談してみましょう。
◇◆◇◆薬が余ってしまいました。これは来年も使える?◇◆◇◆
消費期限内であれば、翌年も投与することは可能です。
しかし、必ずフィラリア検査を実施してから飲ませるようにして下さい。
万が一、フィラリアに感染している状態で予防薬を飲ませてしまうと、
体内で増殖した大量のフィラリアの赤ちゃんを一斉に殺虫してしまい、
どうぶつの体には劇的な負担がかかります。
場合によってはアナフィラキシーショック(急性のアレルギー反応)を起こし、
亡くなってしまう危険もありますので、飲ませ初めの月には、必ず検査を実施しましょう。
◇◆◇◆ネコちゃんのフィラリア予防は必要?◇◆◇◆
ネコちゃんはフィラリアに対して、先天的に抵抗力が強く感染は起こりにくいです。
感染を起こしても多数のフィラリアの成虫が寄生することはなく、フィラリアの寿命も
短いです。そのため無症状のまま過ごしてしまうことが多いですが、突然死を引き起こす
こともゼロではありません。
室内飼いのネコちゃんは、外に出る機会が少ないので、フィラリアを媒介する蚊に吸血
されることは稀ですが、脱走してお外に出てしまうことが多い、室外で生活をする時間が
長いなどという場合は蚊に吸血される機会が多くなります。
ネコちゃんの生活環境に合わせて、予防をするかどうか、動物病院の先生と相談してみましょう。